中国人は四つ足のものはテーブル、空を飛ぶものは飛行機以外なんでも食べる、と言われます。
実はこれ、商人としての中国人のセールストークだという説もありますが、実際、中国の食の豊富さは相当なものです。市場でもレストランでも、日本では見たことのない食材がゴマンとあります。
ですが、そんな彼らがまず手を付けない生き物を最近見つけました。今回はそんなお話。
食べる鯉と食べない鯉
この間、近所のお寺に行ってきました。別にお参りとかではないのですが、池に鯉がたくさんいて子供が喜ぶので。寺務所では鯉のエサも売っているので、子供に買ってあげました。
普段、餌はあげないのでしょうか?もう、恐いくらいウジャウジャ寄ってきて、パクパクパクパク口を動かすんですよ。冷静に見ると結構恐い構図ですが、子供って全然気にしません。そんな折、中国では黒い鯉は食べるけど、白や赤は食べない、みたいな話になり。
まぁ、黒い鯉というのは野性の鯉のことですね。これは食べる、と。
ふんふん、分かるわ。日本でも食べるしね。
ただ、赤や白、錦鯉は食べないと。
おおっ!一緒だね。つまり、飼っている鯉は食べない、と。
当たり前と言えば当たり前ですが。
鯉?食べるでしょ!
ちょっと脇道にそれますが、ヤンメイを含めて鯉を食べたことのない日本人は結構いると思います。若い人達は 何それ!? ってびっくりするかも知れないですね。
昔は日本でも鯉を食べていたそうで、産後や病後には鯉の血を飲ませたりもしていたという話。とはいえ、魚屋では売ってませんし、食べ物のたくさんある現在ではいよいよ食べる機会はないでしょうけれど。
元々、鯉を飼うという文化自体は、ずーっと昔に中国から入って来たようです。考えてみると面白い話で、生け簀ではなく、食べもしない魚を飼って楽しむって感覚は暮らしにゆとりがないと出来ませんよね。今だって、個人で鯉なんかを飼うのは庭に池のあるお金持ちでしょうし。
うそ?本当?
さてそれで、飼っている鯉は食べないという話。調べていたらこんな記事を見つけました。
ざっくり言うと、金閣寺の鯉を食べようとした中国人観光客がいた、って話なんですが。
本当か?
この手の雑誌は面白さ重視で、本当かウソかスレスレの話を書くのが芸ですしね。タイトルからして、「金持ち中国人、突き抜けてんなぁ、態度悪いなぁ」とディスる気マンマンなのが感じられます。
お寺の鯉の起源
というのも、中国にもお寺で鯉を飼う習慣があり、それは食べないもの、という認識があるんです。
昔、お寺にお参りをする人は、願い事と引き換えに善行を積まないといけないので、形式的に「命を助けた」という実績作りのために、お寺に鯉を放流していました。そのために「放生池」という池が作られていた、と。
いまではもう実際に鯉を放したりはしないようですが。お寺の池と鯉はその習慣の名残りなんですね。日本のお寺の鯉の起源もこの辺にあったりして?
ただ、この話が全中国人の常識かというと、それは分からないんですよね。そんなの知らない人もいるし、そんな文化がない地域も当然あるでしょう。広いからね。
成金には非常識な人が多いのも世界共通ですし、記事にされた人が実在するのかは分かりませんが。良い話に涙し、悪い話に怒りたい人が多いからこういう商売が成り立つんですよね。ヤンメイも話題が違ったら面白がって読んでいたかも…
ともあれ、中国人でも(基本?)食べないもののお話でした。