ウチのカミさん中国人 ~毎日が異文化~

国際結婚したい人の夢を壊さないといいな。国際結婚の現実、いいとこ悪いとこ盲点、みんなお話しします。

桃太郎がアップデートされていた!

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ヤンメイ妻、子供向けに、図書館で一度に10冊近く絵本を借りてきます。その中に、今回桃太郎が入っていました。

久々に桃太郎を手に取り読んでみたら・・・


!?

なんか内容が違ってない?



昭和育ちのヤンメイと現代っ子では知っている桃太郎のストーリーにまでズレが生まれるんです!今回はそんなびっくりした桃太郎のお話。

今更ももたろう

桃太郎。日本で最もメジャーな昔話の1つですよね?昔話ベスト10どころか、ベスト5に入ってもおかしくない知名度です。最近はCMネタでも使われているらしいですね。(ヤンメイは未見)

我々日本人には古典というか王道というか。今更借りて来るか?というお話ですが、妻にとっては全然知らない異国の絵本ですからね。「はらぺこあおむし」も「ぐりとぐら」も「桃太郎」と同列です。今更感は全然ないんです。

それで、およそ40年振りに「ももたろう」を読んでみると、結構細部が違うんですよ!

桃太郎盗人論

そもそもはどろんぱ豆(id:doronpa316)さんのエントリーに触発されたのですが。

doronpa316.hatenablog.com

このエントリーによると、福沢諭吉が記した『ひゞのをしへ』のなかで、「桃太郎が鬼の宝を取って来るのは悪いことだ。鬼が悪事を働いていたならば懲らしめるのは良いとしても、宝を取る行為は欲である」と言っているようです。

まぁ、確かにそうです。ヤンメイはこの諭吉的解釈をとても現代的だなぁ、と思いました。鬼の立場にも立って配慮するというか、八方丸く納めるというか。平成に持ってきても違和感のないところが、諭吉のスゴさというか、明治人にしてはブッ飛んだ思考を感じさせます。

で、なんでこんな諭吉を持ち出してきたかというと、ヤンメイの読んだ桃太郎はこの諭吉のツッコミをクリアしてるからなんです!

平成的ももたろう

ヤンメイ妻が借りてきたのはこちらの「桃太郎」。以下はネタバレを含みますので、松居直の「ももたろう」を真っさらな気持ちで楽しみたい方はご注意下さいwww。

 

ももたろう (日本傑作絵本シリーズ)

ももたろう (日本傑作絵本シリーズ)

  • 作者: まついただし,あかばすえきち
  • 出版社: 福音館書店
  • 発売日: 1965/02/20
 

ツッコミ回避ポイント1

この桃太郎にはカラスが出てきます。おじいさんおばあさんの家で平和に暮らす桃太郎の元に、「鬼が近隣の村で米や塩など盗みを働いている。鬼ヶ島に姫をさらっていった」と頼まれもしないのに、なぜか報告に来るのです。

しかし、このカラスの報告のお陰で、桃太郎の鬼退治は鬼に搾取される人民の解放と姫の救出、という大義名分を得ましたよ。

これにより、まずは民衆に迷惑をかける鬼をやっつける行為は、諭吉のいう「はなはだよきこと=グッジョブ!」になります。 

ツッコミ回避ポイント2

鬼退治をした桃太郎に鬼達が宝物を差し出します。ヤンメイの知っている桃太郎は、この宝を貰い大八車に乗せて、おじいさんおばあさんの家に凱旋します。

ですが、この「ももたろう」は違います!

「宝物はいらないから、姫を返せ」と姫の救出のみを行います。これだと、そもそも宝物を鬼から取り上げてもいないので、諭吉の非難した「よくのためのしごと」には当たりません。

このように、松居版ももたろうは諭吉の指摘をことごとくスルーする作品に仕上がっています。最初は平成になってアップデートしたのかと思いましたが、初版が1965年なのでそうではなさそう。むしろ、『ひゞのをしへ』は明治に書かれているので、桃太郎盗人論を知った上で対策を講じて書かれたのが松居版なのかも知れません。

残る疑問

まぁね、これだと米や塩を盗まれた村人にはお宝の還元がないんですけど。あと、物語の最後の方で桃太郎は救い出した姫と結婚してしまいます。最後は定番的に「おじいさん、おばあさんと幸せにくらしました、めでたしめでたし」と安心の終わり方をしています。

ですが、元々姫として育った者が、農家の嫁として嫁いで大丈夫?とか、田舎には稀な知恵と力を持つ桃太郎が野に埋もれて農村の片隅で暮らしてゆくことが、果たして幸せなの?とか、大人になるとどうも要らんことを考えてしまいますね。


ともあれ、ヤンメイ娘は鬼を退治し、姫を救い出すヒーローとして桃太郎を記憶するんでしょう。なんだか、ギャップを感じます。そんな昭和中期に描かれた、平成的桃太郎の紹介でした。