ウチのカミさん中国人 ~毎日が異文化~

国際結婚したい人の夢を壊さないといいな。国際結婚の現実、いいとこ悪いとこ盲点、みんなお話しします。

J3ガイナーレ鳥取の岡野GMを可哀想に思った妻の視点

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先日、日テレの深イイ話で、J3ガイナーレ鳥取でGMをしている岡野雅行さんの現在が取り上げられていました。

パネラーは全員一致で「深イイ」とジャッジ。ヤンメイも「おおっ!今も頑張っていて熱いな」と楽しく観ていたのですが、妻は「この人は可哀想だ!」との感想。

???

よく話を聞いてみると、「なるほど」と思いましたが、大きなカルチャーギャップを感じました。そうくるか!?

今回は日本人みんなに知ってもらいたい中国人の家族観のお話。

ある日の深イイ話

たまたまテレビを見ていて、サッカー元日本代表の岡野さんが出ていました。久々に見た彼は、4年前に現役を引退し、J3のガイナーレ鳥取というチームのゼネラルマネージャー(GM=監督よりも偉い総責任者)になっていました。

番組は現在の岡野さんの苦境というか、GMとしての苦労を追っていきます。お金のない3部リーグで、「野人」の知名度を生かしてスポンサー獲得に奮闘。営業のために日本各地を移動し、接待で深夜まで飲み、3日も家を空けるなどの証言も紹介。今でも「野人」イメージを崩さないよう長髪にこだわっています。

金銭的にも大きな減収となり、都会から田舎へ移住したギャップで家族にも負担をかける暮らし。それでも家族に感謝しつつ、縁のあったガイナーレ鳥取J1昇格のため(まずはJ2?)岡野さんは今も頑張っている、的な話でした。

スマホ片手に軽〜く見ていたので、ザックリなまとめですが。

ヤンメイの感想

ヤンメイ、単純なので「おお、スゴいな!」と素直に感心しました。番組の最後に、参加したパネラー達が「イイ話かどうか」をジャッジするのですが、全員一致の「深イイ!」判定。

過去に栄光がある人物が、そこに安住せずにあらたな苦境に挑む、というのはカタルシスがあるストーリーですよね。

残念ながら、ガイナーレ鳥取は岡野さんの奮闘も実らず成績は低迷しているので、そこだけがちょっと水を差していますけど。現実の厳しさが見えるのも、またリアルな感じです。

かつて、テクニックはあまりないけれど、ひたむきにボールを追うイメージのあった岡野さん。その人物は厳しい環境の中、今も同じひたむきさでチームを押し上げるべく奮闘しているんだ、みたいに感じて嬉しくなりました。

まさに番組の狙い通り!ヤンメイ、チョロい視聴者です。

中国人妻の感想

しかし、ヤンメイ妻はこの岡野さんの頑張りを見て
「この人は可哀想だ!」
 との感想を抱くのです。


???


コレノドコ二可哀想ナ要素ガアルノデスカ!?


妻曰く
「この人は移動ばかりして、遅くまでお酒を飲み、接待のストレスも続くし、決っして長生きは出来ない。どこかで健康を失うよ」と。

え〜っ!?日本のビジネスマンとしては普通じゃない?

「しかも、ずっと「野人キャラ」でいることを求められてそれに応えている。それは本当の自分じゃないのよ。素の自分ではない時間を過ごすのは不幸なことだよ」

むむむむ。確かに一理ある。

「こんな暮らしをしていると家族とゆっくり過ごす時間もないよ。この人は、沢山お金を稼いでいた時期にサッカーを辞めて、本当に漁師にでもなっていれば、もっと、家族と過ごすことも出来たのに」

う〜ん。中国人、オフにソロ活動とかしないんでしょうか? ←ウチはないです

ともあれ昭和のモーレツサラリーマン全否定ですな。完全に軸足が家族に置かれていると、このような発想になるんですね。中国人が家族を大切にするのは知っていましたが、優先順位は仕事と家族なら完全に家族です。

これが世界標準かは分かりませんが、この価値を共有できる人は世界に沢山いそうです。オーストラリア人と国際結婚している友人は、オーストラリアではあまり仕事人間だと、それを理由とした離婚が結構起こる、と教えてくれました。一緒に過ごせない結婚なら意味がない!と。

昭和クレージー

ヤンメイ、労働観は昭和のままなのです。妻のプレッシャーにより、やや家族寄りに暮らしてはいますが、思考回路そのものはあまりアップデートされていないんだなぁ、と実感しました。

しかし、一度妻の視点に立つと、そんな奮闘を続ける岡野さんにエールを送るような番組作りは、「仕事や任務の名の下に家族との時間を犠牲にすることを是とする日本社会」を描いており、パネラーや番組制作者の価値観もそこにあることを示しているんですよね!びっくり!!

個人的な感覚だと、未だ仕事で親の死に目に会えないことが悲劇だと思えない世代です。むしろ「俺の葬式なんてやってるヒマがあったら、きっちり自分の仕事をしろい!」なんて発想の方が理解出来てしまう。

これって、やっぱり異常なんだな、と思いはじめました。昭和の一時期には確かに存在した価値観ではありますが、現在ではクレージーなんでしょうね。

どっちもやれ

ノーベル賞を受賞した日本人の学者さんは「妻に苦労をかけた、家族に支えて貰った」みたいなコメントをする印象があります。ここまで全てを投げ打って打ち込まないと偉業は達成出来ない、という例だと思っていたんですが。

これ、自分の好きな仕事に没頭して家族を犠牲にするのも仕方ない、という男社会のマスコミが出してる免罪符にも思えてきて。

男は仕事だけしていれば良い、というシンプルな時代もあったけれど。これからは、家族にかまけていては仕事が出来ない、というのではなく、家族も大事にしつつ仕事も大切にする、というハードモードに突入していくんだな、と感じました。

なんかいい感じにまとまったのかな。そんな、中国人妻が岡野さんを可哀想に思った、というお話でした。