ウチのカミさん中国人 ~毎日が異文化~

国際結婚したい人の夢を壊さないといいな。国際結婚の現実、いいとこ悪いとこ盲点、みんなお話しします。

小さな命を大切に!が通用しない世界で

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いや、別に全然悲惨な話じゃないですよ。我々が平穏に暮らす日本から遠く離れた場所で、今も何千何万の命がいわれもなく失われている…といった世界の現状を嘆く内容ではなく。

生き物を助けて中国人に笑われた、という日本的ヒューマニズムのお話。

背後に誰がいる

昨年、お義母さんを連れて沖縄に旅行に行ったときのお話です。お義母さん泳げませんから。もっぱら楽しいのは貝殻拾いです。その日も車内で寝てしまったヤンメイ娘と保護者ヤンメイを車内に残し、妻とお義母さんは貝殻拾いにいそしんでいました。

結構長いこと待ちましたね。コンビニ袋一杯に貝殻を拾った2人が戻ってきました。が、まだ拾い足りないらしく、途中の良さげなビーチに寄ってくれとのご要望。

はいはい、と近場の具志堅ビーチなるところに車を停めました。すると、寝ている娘と2人しかいない車内でガザゴソと音がします。

???

耳を済ますと車の荷室から音が聞こえます。

???

生き物でも採ってきた?

荷室のドアを開け、コンビニ袋を確認しますが貝殻ばかりで生き物の影はありません。

???

不審に思いながらも運転席に戻ると、やはりまたガザゴソガザゴソ。



やっぱり気のせいじゃないよね!?


やっぱり音はコンビニ袋からしている様子。もう一度、袋を遠目から観察していると…



いました!
小さな小さなヤドカリちゃんが!


一見貝殻だし、人影が見えると隠れてしまうので、さっき見た時には分からなかったんです。同じ理由で、妻達も拾って来ちゃったんでしょう。

ヤドカリ確保が不思議

ふたたび収穫を終えて車に戻った妻とお義母さんに、可哀相だからここの海に放してあげな、と言ったのですが。

なんか面喰らっている様子。面倒だからいいよ、みたいなことを言って、2袋分の貝殻を宿まで持ってきてしまいました。

まぁ、確かに、人がいると隠れてしまうのでね。選別が難しいといえば難しい。なので、宿でゆっくり選り分けるのでしょう。

ヤンメイ達の宿には広めのテラスが付いており。こちらに収穫してきた貝殻をザラ〜ッと広げてしばらくすると、なるほどヤドカリちゃん達はガザゴソ歩き始めるではないですか。確かにこれなら選別は簡単です。とりあえず空き瓶にヤドカリ達を保護しました。

ですが、妻と義母はなんとなく不思議な顔をしています。なぜそんなことをするのか、といった風。


いやいやいや、だって、海に帰してあげなきゃ死んじゃうでしょ!?


死んでマズいの?とこそ、尋きませんが、どうやらそんな心境のようです。

なるほど!この人達には「小さな命を大切に」的な教育はないのだな、とようやく察しました。なかなか根本的なズレな気がしましたね。

鶴の恩返し的話?

翌日、出掛ける際にヤンメイ、瓶を持って宿を出ました。それで、最初に海らしきものが見えた辺りで車を停め、放流(?)を試みました。ですが、残念ながらその場所は海でこそありますが、テトラポッドの沈む切り立った海辺。ちょっとヤドカリの生息域とは違う気がします。

なので、再び瓶を持って車に戻りました。もう少し、浜っぽいとこまで行って放すね、と。すると、妻と義母は「きっと明日あたりヤドカリが恩返しに現れるんじゃない?」みたいなことを言って笑っています。やっぱり、彼女達にはなんか可笑しみを感じる行動みたい。

それでも良さげな浜に無事ヤドカリを放し、なんとなく肩の荷が下りた気分になりました。少なくとも、半分日本人のヤンメイ娘には、成長したら「小さな命を大切に」という感覚を持っていてもらいたいものです。

生命はどこまで大切か

 多分、彼女達の感覚からしたら、そんなことをして何になるんだ、という気分なのでしょう。そもそも、人口がすごく多くて、同国人という以外には別に縁のない人がゴマンといますから。人の命すら、あんまりインパクトないんですよね。ヤドカリなんかだとなおさら。

ヤンメイもこれが食べるつもりや飼うつもりで獲ったのなら、別に文句はなかったのですが。間違えで連れてこられて、そのまま打ち捨てられて干上がって死ぬのは可哀相だな、となんとなく思ってしまったんですよね。こういう感情は日本人的にはポピュラーだと思うんですけど、実際どうなんでしょうね?

ただこれ、ヤンメイ妻やお義母さん(中国人)の感覚がおかしい!と責めるお話でもないんですよ。いや、当時は思いましたよ、やっぱり感覚が地続きじゃないな、って。

でも、冷静に考えれば、ヤンメイも家の中に蚊とか虫がいた時、まず殺してしまいますし、瀕死のセミがマンションの廊下に落ちていても打ち捨てて平気に過ごしています。そして、それは日本人的価値観の中で、そう非難されるような行為でもない。「小さな命を大切に」といいつつ、ご都合主義のダブルスタンダードです。

それこそ、「じゃあ、あなたが助ける命と見捨てる命の境はどこなの?」と尋ねられたら、きっとすごく不合理な答えになって、理解不能でしょうね。ヤンメイのしていることだって、実は大差のない、自己満足のヒューマニズムなんだなぁ、と改めて書いていて自覚しました。

子供にはどう教えますか?

でも、幸いにして、幼稚園に行き始めた娘への教育は日本寄りスタイルです。別に話し合ったとかではないですが、そういう形になっています。

草花をあまりたくさんむしったときは、「お花も生きてるよ」とか、アリを踏んで楽しんで(?)いたりすると「アリも踏むと痛いよ、死んじゃうからやめよう」とか。

やっぱりね、「たがが虫ケラを踏み殺してなにが悪いの?」とかだと、周囲から浮き上がってしまいますしね(笑)。小さな命にも優しい気持ちを持って接する人に育ってほしいな、とは願っています。

 

そんな、日中の小さな命をめぐる価値観の違いのお話でした。